虫歯は、口の中にいるミュータンス菌が酸を産生し、その酸によって歯が溶けていく病気です。
口の中にはたくさんの細菌がいて、ミュータンス菌はその一つです。
ミュータンス菌は食物に含まれる糖分をエサとして、ネバネバ物質であるグルカンを発生させ、歯垢(プラーク)をつくります。歯垢は細菌の住みかとなり、1mgの歯垢に2~3億個もの細菌がいます。そして、歯垢中のミュータンス菌が糖分を分解して酸を発生させ、徐々に歯を溶かしていくのです。
甘いものを食べると虫歯になりやすいのは、ミュータンス菌が糖分の中でも砂糖を好むからです。間食に砂糖を使ったお菓子を食べたり、糖分入りの飲み物を飲んだりすると、ミュータンス菌がどんどん分解して歯の表面を酸で覆ってしまうので、虫歯になりやすくなります。
しかし、虫歯の原因はミュータンス菌と糖分だけではありません。一生懸命に歯磨きしても虫歯になりやすい人がいます。歯は子どもの時にあごの中で形づくられますが、その時の環境などによって歯質が左右されるのです。
唾液の作用によっても「虫歯になりやすい、なりにくい」は、影響を受けます。
虫歯は、酸が歯を溶かしていく病気なので、唾液が酸性に傾いている人は虫歯になりやすく、アルカリ性に傾いている人は虫歯になりにくいと言えます。ですから、私の医院では患者さんに唾液テストを受けてもらい、虫歯になりやすい体質かどうかを自覚していただくようにしています。
虫歯の原因は「ミュータンス菌」+「糖分」+「歯質」です。どれか一つだけでは虫歯は発生しませんが、結びつくと虫歯になってしまいます。
いったん虫歯になれば、自然治癒はあり得ません。放っておけば進行するだけです。虫歯は歯を失う二大原因の一つになっています。歯磨きや定期検診など予防と早期発見が何より大事です。
虫歯は放置しておくとC0からC4へと進行していきます。
虫歯の症状はC0~C4と5段階に分類されています。Cというのは、英語で虫歯の意味の「Caries」(カリエス)の頭文字です。
・C0 肉眼では虫歯による穴などは見られませんが、歯の表面から無機成分が少し溶け出しているところがあり、初期虫歯の疑いがある場合です。この段階なら、正しい歯磨きなどを実行すれば虫歯にならずにすみます。
・C1 エナメル質の虫歯です。歯の噛み合せの溝などに発生しますが、痛みなどの自覚症状はありません。定期検診を受けていれば、この段階で発見でき、治療も簡単です。
・C2 虫歯がエナメル質を超えて象牙質まで進んだ状態です。穴があき、黒っぽくなって見た目でもわかります。冷たいもの、熱いもの、酸っぱいもの、甘いものなどが沁みてきます。この段階でも歯髄(神経)に達していないので簡単な治療ですみます。
・C3 虫歯が歯髄にまで達し、歯髄炎を起こしています。大きな穴があき、膿が出ることも。絶えず激痛が襲います。放置して痛みが治まることもありますが、それは中の神経が死んで痛みの感覚がなくなるからで、治ったわけではありません。治療には時間がかかります。
・C4 歯冠がほとんどなくなり、歯根だけが残っている状態です。歯髄が腐敗して膿が出て悪臭がします。歯根の先に膿の袋ができる場合もあります。歯槽骨まで溶けて、顔が腫れ、熱が出ることも。歯根の状態により、歯を抜くしか治療方法がない場合です。
「鈴木歯科医院」では虫歯・歯周病治療を行っています、詳細はこちらでどうぞ。
虫歯や歯周病など、歯のトラブルが気になっている人は、まず歯の仕組みを知ることから始めましょう。基礎知識があれば、歯科医師や歯科衛生士の話も理解しやすくなります。
それでは、私たち人間の歯が何本あるかという話からです。
永久歯は、
前歯6本 小臼歯4本 大臼歯4本 プラス智歯2本
合計14本 + 智歯(=第三大臼歯=親不知:2本)
上顎・下顎で、倍の28本 プラス智歯4本 32本が最大。
しかし、智歯が生えない人もいます。だから、普通は「28本」が永久歯の数です。
乳歯は生後6か月頃から生え始め、2歳半くらい、遅くとも3歳には生え揃います。
上あご(顎)10本、下あご(顎)10本で合計「20本」。
左右5歯づつ、同数できれいなアーチ型に並んで萌出します。
そして、6歳頃に最初の永久歯が乳歯の後ろに生えてきます。このときに、歯肉を突き破って永久歯が出てくるので、軽度の炎症が起こります。この炎症による発熱が時にあり、それを人は「知恵熱」と呼びます。知恵がついたから熱が出たのではないのですが…
第一大臼歯の萌出後、永久歯が順次、乳歯と生え替わっていきます。
永久歯が生え揃うのは11~12歳の頃です。
先にも記した様に、歯の本数は上あご14本、下あご14本です。さらに、早い人は18歳頃に親不知(おやしらず)が生えてきます。ただし、親不知は完全に頭を出さないことも多く、まったく生えない人もいます。つまり永久歯は28~32本と人それぞれです。
歯科治療では前歯の中央から奥歯にかけて1から8まで番号で呼びます。左右上下で8番ずつ、計32本に番号と名称があります。
歯の形による役割は次の通りです。
・ 中切歯 前歯中央の歯。食物を捕える事と、噛み切る役割を果たします
・ 側切歯 中切歯、脇の歯。中切歯と同じ役割を果たします
・ 犬歯 口の中に入れたものを切り裂く働きをします
・ 臼歯 小臼歯と大臼歯があり、ものを磨りつぶす機能があります
乳歯の場合は、それぞれの名称の前に「乳」を付けて乳中切歯、乳側切歯、乳犬歯、乳臼歯と呼びます。
乳歯は番号でなく、アルファベットAから順にEまでで呼びます。
A=乳中切歯、B=乳側切歯、C=乳犬歯、D,E=乳臼歯です。
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正しいブラッシングをするには、自分に合った歯ブラシを選ぶことが大事です。
ポイントはヘッドの大きさと毛の硬さ。動かしやすいのは、口の奥まで入っるヘッドの小さなもの。
一般的に大人用歯ブラシのヘッドは大きめなので、場合によっては子ども用でもいいかもしれません。
毛は柔らかめのものを選びましょう。硬い毛先では歯肉(歯茎)を傷つけてしまいます。
毛先が反り返った歯ブラシも歯肉を傷つけますから、こまめに交換しましょう。
また、最近は電動歯ブラシの種類が充実してきました。従来の電動歯ブラシの他に、超音波歯ブラシなどが出ています。
従来型電動歯ブラシは毎分2000~3000回のストロークで歯垢(プラーク)を除きます。
ストローク方法はメーカーごとにさまざまです。
音波歯ブラシは毎分約3万回の音波振動で歯垢を取り除きます。
さらに、超音波歯ブラシは振動数160万Hzの振動で歯と歯垢のつながりを断ち切ります。
音波・超音波歯ブラシは、従来の電動歯ブラシよりも振動があるため幼児などには不向きですが、振動によって歯肉のマッサージ効果が得られるので歯周病対策に有効です。
(ただし、体内埋込型の医療電子機器を使用している人は医師に相談してください)
実は、朝昼晩と1日の中でも磨き方を変えると効果的です。
夜、入浴後に血液の循環が良くなっている時に歯肉を中心に磨くと、歯肉のマッサージ効果が大きく歯周病予防になります。
朝は血液の循環がよくありませんから、歯肉を痛めないように注意しながら歯垢が沈着しやすい部分を重点的に磨きます。
昼間は電動歯ブラシを携帯できませんから、手用歯ブラシで食べカスを取り除く磨き方をします。
また、歯ブラシだけでは歯垢を完璧に取り除くことはできません。歯と歯の間の歯垢はデンタルフロスを使って取りましょう。
歯と歯の隙間が広い場合やブリッジの下の部分を磨くには、歯間ブラシを使うとよいでしょう。
いずれにしろ、一人ひとりの歯の状態は違います。定期検診や治療で歯科医院に行った時に自分の口に合った歯ブラシや補助用具を教えてもらうのがベストです。
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健康な歯を維持したいならば、1にも2にも正しいブラッシングに尽きます。
正しい歯磨きを励行しましょう!いろいろなブラッシング法がありますが一つのブラッシング法では完璧な歯磨きはできません。
歯を失う原因である虫歯、歯周病と噛み合わせ。
いずれに対しても、歯垢を残さないことが予防につながります。うがいでは歯垢は取れません。
いくら忙しくても、朝と夜寝る前に1日2回の歯磨きを日課にしている人がほとんどではないでしょうか。しかし、それでも虫歯や歯周病にかかるのは、正しいブラッシングができていないということでしょう。
正しいブラッシング法と言っても、この方法でやれば完璧というブラッシング法があるわけではありません。どのブラッシング法にも一長一短がありますし、一人ひとりの顔が違うように、歯の形や大きさ、並び方は人それぞれ違います。その人の歯に合わせて、何種類かのブラッシング法を組み合わせて、磨き残しがないようにすることが大事です。
治療や定期検診で歯科医院に行ったときに、歯科衛生士がブラッシング指導をしていると思いますので、自分の歯に合った磨き方を相談してみてください。同じ努力をしても、効果がまったく違うはずです。
また、歯磨きにある程度、時間をかけることも大事です。ササッと1回20~30秒で磨いている人が多いのではないでしょうか。そんな短時間では30本前後の歯をきれいに磨けるはずがありません。
日本歯科医師会では1回の歯磨きの時間として、10分を目安にしています。
忙しい朝や昼に10分間歯磨きするのは無理かもしれませんが、夜寝る前にはそれくらいの時間をかけていただきたいと思います。
テレビを見ながら、お風呂に入りながらなど、ながらでかまいません。
歯磨き粉が飛び散るのが困るようなら、歯磨き粉はつけないでもいいのです。歯磨き粉をつけたほうが歯垢は取りやすいですが、泡が出て長い時間磨くには不向きかもしれません。歯磨き粉をつけずに、リビングでも風呂場でもゆっくりブラッシングをして、最後に仕上げに洗面所で歯磨き粉をつけて磨くと良いでしょう。
また、オフィスでもOLの人たちは昼食後に歯磨きしている人が多いようですが、環境が許すなら、ぜひ歯ブラシを携帯して短時間でもブラッシングしてください。ざっとでも食べカスを取っておくにこしたことはないのですから。
スクラッビング法、バス法、立て磨きなどさまざまなブラッシング法を組み合わせて磨きましょう。
いろいろなブラッシング法を説明しましょう。
・スクラッビング法
スクラッブとは洗い落とすという意味で、最もポピュラーな方法です。歯ブラシの毛先を歯の面に垂直に当てて数ミリずつ小刻みに動かします。毛先を強めに押し当てて、小刻みに振動させると、歯と歯のすき間にも届き、食べカスを取り去ることができます。大きく動かして横磨きになってしまうと、歯が磨り減ってしまうので注意しましょう。
虫歯に効果的なブラッシング法とされていますが、歯と歯の間の歯肉は歯肉炎にかかりやすい部分なので、歯周病の予防と治療にも有効です。
・バス法
歯ブラシを45度の角度にして、歯と歯肉の境目に毛先を当て、細かく振動させます。歯周ポケットに毛先が入り、歯肉のマッサージにもなり、歯周病対策に適しているブラッシング法です。ただし、硬い歯ブラシを使用したり、横磨きになってしまうと、歯肉を痛めることになるので注意してください。
・立て磨き
1本の歯を6面体と考え、表側の正面と左右、裏側の正面と左右の6方向を、歯ブラシを縦にして磨きます。1本ずつ磨くので時間はかかりますが、歯並びの悪い人にお勧めです。
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虫歯や歯周病、あるいは事故などで歯を失った場合、従来は入れ歯かブリッジにするしかありませんでした。
しかし、生活するうえで機能性も審美性も、必ずしも満足できるものではないというのが実情でした。
入れ歯について不満を抱いている人は、現在でも大勢います。
まず、口の中に装着した時の不快感。異物感が苦痛で、吐き気がする人もいます。
また、床と呼ばれる土台を歯肉(歯茎)に被せるので、噛むと歯肉に痛みが生じます。固いものが噛めず無理して噛むと痛いし、歯肉が腫れることも。
クラスプという金属製の爪で両隣の歯にかけて止める部分入れ歯は装着は簡単ですが、こまめに掃除するなど手入れをしないと不潔になりやすい欠点もあります。
外食する時など、外れはしないかという不安もあるようです。場所によってはクラスプが見えてしまうのも、心理的負担になっています。
そして医学的に問題なのは、クラスプをかける両隣の歯が入れ歯を取り外しするたびにエナメル質が傷つきやすくなり、そこから細菌が侵入して虫歯になりやすくなることです。
また、入れ歯を支える力が加わるため、次第にぐらつき始めます。つまり、1本の義歯を支えるために両隣の健康な歯が犠牲になるリスクがあるということです。
ブリッジは、両隣の歯の上部を削って連結した人工歯冠を被せる方法です。入れ歯のように取り外しをしないで、自分の歯のように使える点が便利ですし、安定性もあります。
入れ歯より使い心地はいいですが、両隣の健康な歯の上部をわざわざ削らなければいけません。つまり、両隣の健康な歯へのダメージは入れ歯よりも大きくなります。
上部を覆うエナメル質は人体の中でも最も固い部分ですが、そこを削って象牙質が剥き出しになってしまうと、細菌に侵入されやすくなります。人工歯冠と削った天然歯の間は歯垢が溜まりやすく、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。1本の失われた歯のために、2本の健康な歯が犠牲になるリスクが入れ歯より大きいと言えるでしょう。
入れ歯もブリッジも義歯としては一長一短あり、医学的にもQOLの点でも最良の方法とは言えません。
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